
先日、我が家に小さな二人組が届いた。私が描いたオリジナルキャラクター「ユキミノちゃん」。ずっと紙の中にいた二人が、11cmのぬいぐるみキーホルダーになって帰ってきた。
開封して見た最初の感想は「わぁ、すご……」だった。スカートのフリルの一枚一枚、目元の刺繍。写真で見ていた時よりも、実物のほうが一針の細かさが伝わってくる。しばらく見入ってしまった。
この記事では、業者探しから完成品が届くまでの約40日を、費用も含めて全部書いておく。同じように「自分の描いたキャラをぬいぐるみにしてみたい」と思っている人のお役に立てたら嬉しいです。
なぜぬいぐるみを作ろうと思ったのか
ユキミノちゃんは、癒し系の友達をモデルにして描いたキャラクターだ。LINEスタンプにもしている。
他の友達に見せたとき「こんなキーホルダーあったら欲しい」と言われた。自分では作られへんしなぁ。
これは、商品になりうるのだろうか。
ブログを書いていると、いつか自分の絵をグッズにしてみたいという気持ちが出てくる。その一歩目として、まず1セットだけ形にすることにした。
思えば、小学生の頃も同じことをしていた。友達3人でブタちゃんのキャラクターの絵を描いて「ぶーちゃんクラブ」と名前を付け、ノートの切れ端にその絵をあしらって、メモ帳やメッセージカードといったちょっとしたグッズを作っていた。自分の描いた絵が物になるのが、ただ嬉しかった。そんな記憶の奥底に眠っていたエピソードが懐かしく思い出された。
正直、金額を見たときは「痛いな」と思ったけど、それでも形になる姿を見てみたくなってしまった。
業者探しでわかったこと
作りたかったのは、ギャル風の服を着た2体。この服装には元ネタがあって、以前AIで作ったオリジナル曲の動画で、思春期の娘が出てくる場面にギャルバージョンのユキミノちゃんが登場する。その姿が友達に好評だったので、ぬいぐるみもその路線でいくことにした。
ただ、この選択が業者探しを難しくする。
ぬいぐるみの製作を受けてくれる業者は思っていたより多い。ただ、条件が合うところを探すのに一番時間がかかった。
私が実際に当たったのは4〜5社。結果はこうなった。
- 1体6万円台から、最小サイズが20cmという工房。キーホルダーには大きすぎて見送った
- 受付枠がいっぱいで、新規の受付を停止していた工房
- 小さいサイズでは服の複雑さに対応できない、と教えてくれた作家さん。「簡単なものなら可能」とのことだった
- そして、11cm・2体・ボールチェーン付きで受けてもらえることになったぜーたぼんぼりさん。ここにお願いすることに決めた
ここでの学びは、サイズと服の複雑さで、作れる作れないが決まるということ。小さいほど安いわけではなく、小さいほど難しい。私のキャラは服に柄が多かったので、それが断られる理由になった。
見積もり依頼に書いたこと
見積もりは同じ内容で2社に送った。書いたのはこの項目。
- 作りたいもの(2キャラ2体1セット・カバンに付けるキーホルダー仕様)
- 希望サイズ(10〜12cm。ただし「推奨サイズがあれば教えてください」と添えた)
- 金具の希望(ボールチェーンかナスカン)
- 服装のパターンを2案(シンプルな服/柄物の服)に分けて、それぞれの概算
- 添付資料(手書き原画・イメージ画像・キャラが動く動画)
- 質問リスト(送料込みか/修正回数と追加料金/納期/ブログに載せてよいか/将来販売してよいか)
このうち一番やってよかったのが2案に分けて見積もりを頼んだこと。「シンプル版12,000円/柄物版13,500円」と並べてもらえたので、1,500円の差なら柄物でいこう、と即決できた。ざっくり「いくらですか」と聞くより、こちらで案を分けたほうが向こうも答えやすい。
もうひとつがブログ掲載の可否を購入前に確認したこと。
実際にかかった費用と期間
費用の内訳はこうなった。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| ぬいぐるみ本体(1体6,000円×2) | 12,000円 |
| 衣装用の布の取り寄せ | 1,500円 |
| サービス手数料 | 743円 |
| クーポン割引 | −1,350円 |
| 支払total | 12,893円 |
送料は込み。制作の途中でしっぽを追加してもらったり、完成後に直してもらったりしたが、追加料金は最後まで発生しなかった。
期間は、最初に見積もりを相談した日から実物が届くまでで約40日。当初の納期は9月20日の予定だったので、1か月近く早く仕上げてもらったことになる。
- 7/15 見積もり相談を送信
- 7/19 正式な見積もりが届く/購入
- 7/22 デザインラフの1枚目が届く
- 8/2、8/4 修正のやりとり(計3往復)
- 8/4 デザイン確定、縫製へ
- 8/21 完成連絡と制作過程の写真
- 8/24 到着
デザインラフの摺合せが一番の山場
購入して終わりではなく、ここからが本番だった。ラフを見て希望を伝える、が3往復。
届いたラフには、絵のまわりに確認事項が手書きで書き込まれていた。11cm・ボールチェーン付き、体の色はミルクホワイト、ほっぺにチーク、頭巾は着脱不可、蝶々はゴールド系。こちらの希望が一つずつ絵と文字になって返ってくるので、認識のズレがその場で分かる。
通った要望
- まつげをしっかり、唇も塗ってほしい
- 体の色は真っ白ではなくミルクホワイト
- 頭巾に星、二人に蝶々を1つずつ(一度いらないと言ったのに後から復活させてもらった)
- スカートをフリルにしたい
通らなかった要望
- 頭巾の横幅を広げたい → 構造上できない。綿の入れ方で左右をふっくらさせる形で対応してもらった
有り難かったのは、できないことを理由と一緒にはっきり言ってもらえたこと。しかも必ず代案が出てくる。これがあるとこちらも安心して希望を言える。
もうひとつ、絶対に忘れてはいけないこと。刺繍は後から直せない。顔の表情、まつげ、メガネの大きさ、柄の組み合わせ。この辺りはラフの段階で出し切っておく必要がある。私は目を大きくしてもらった結果、メガネに目が収まらなくなるという問題が発生して、メガネのほうを大きくすることで解決した。こういうことが起きるので、ラフは細かく見たほうがいい。
制作の過程を見せてもらえた
作っている途中の写真を、段階ごとに送ってもらえた。これが待っている間、本当に楽しかった。

刺繍枠にぴんと張られた布に、下絵が描かれている。この上に、まつげが一本ずつ刺繍されていく。

刺繍が終わった顔。下地シートを剥がす前でも、表情がはっきり分かる。

頭巾が付いてチークが入ると、ぐっとキャラクターらしくなる。

星の飾りは、フェルトにラインストーンをピンセットで一粒ずつ貼って作られていた。指先ほどの大きさに、あの粒が何十個も並んでいる。

しっぽとYシャツのサイズ感。うさぎのしっぽは、制作の途中で「付けますか」と提案してもらって足したもの。Yシャツは指先ほどの大きさなのに、襟も袖もきちんと縫われている。
完成品だけ見ていたら、絶対に分からない手間だった。
なお、型紙を写した布を並べた写真は載せない約束になっている。型紙は作り手さんの大事な資産で、写真から読み取れてしまうため。こちらが何も言わなくても、その段階を飛ばして撮影してくれていた。ちなみに使われている型紙は『てづくり推しぬいBOOK』(平栗あずさ 著)を参考にしたものとのこと。
完成写真の段階で、気になったところを伝えた
完成の連絡と一緒に、写真が届いた。まだ発送前のこの段階で、一点だけ気になるところがあった。首が長く見える。頭巾が顎で終わっていて、その下の白いボディが縦にのぞいていた。
言うかどうかは迷った。ここまで丁寧に作ってもらっておいて、注文を付けるようで気が引ける。それでも伝えられたのは、作り手さんから「対応できない場合もありますが、可能な限りご要望に沿いたいと考えております」という一言をもらっていたからだ。できないかもしれない、と正直に前置きしたうえで、それでも聞かせてほしいと書いてある。この一言があるかないかで、こちらの言いやすさは全然違う。
返ってきたのは、頭のパーツを付け直すことはできないが、顎を引くようなイメージで首元を埋めることはできる、という答え。直してもらった写真では白い部分がほとんど消えて、原画のバランスに近づいていた。

靴については、作り手さんのほうから相談をもらった。着せ替えができるように固定していないので、とても脱げやすいとのこと。カバンに付けて連れ歩くつもりだったので、紛失が怖い。履き替えの自由度は諦めて、固定してもらうことにした。

オーダーする前に決めておくといいこと
今回やってみて、先に決めておけばよかった/決めておいてよかったこと。
1. サイズと服の複雑さはセットで考える
小さいほど安いのではなく、小さいほど難しい。服が複雑なら、それを作れる人を探すことになる。
2. 刺繍・顔まわりはラフの段階で出し切る
後から直せない。遠慮して言わなかったことは、そのまま形になる。
3. 着せ替えするのか、固定するのか
靴も服も、脱げるように作るか固定するかで作り方が変わる。使う場面(飾る/持ち歩く)から逆算して決める。
4. ブログやSNSに載せたいなら、購入前に聞く
これは本当に先に聞いたほうがいい。制作過程の写真も、載せてよいか・どこまで載せてよいかが人によって違う。
5. 将来売りたいなら、その話も最初に
同時に作れる数には限りがあるし、そもそも量産は別の話になる。ラフや型紙は作り手さんの著作物なので、他所に流用はできない。
6. 追加料金の発生条件を聞いておく
私の場合は修正が3〜4回まで、それを超えると追加という条件だった。
まとめ
12,893円は決して安くない。しかし自分で描いた絵が、誰かの手で立体になる。この体験はとてもいい思い出になったし、自分の知らない世界を覗くことが出来て勉強になった。
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