8月28日、『図解でよくわかる 菌ちゃん農法』の進化版が出た。
前回の記事の最後に「これから買う方はそちらもご検討ください」と書いた、あの本を自分で買った。
届いて、早速どこが変わったのか調べてみた。
うちの畝の作り方が、「以前の菌ちゃん農法」として書かれていた。
何が変わったのか。のせるだけ、から、土と混ぜる、へ
進化版では、菌ちゃん農法が三つに整理されていた。木くずや竹チップを使う「無肥料の菌ちゃん農法」、刈った草や収穫残渣を使う「草マルチの菌ちゃん農法」、生ごみを使う「生ごみの菌ちゃん農法」。うちがやっているのは一つめで、今いちばん広く普及しているのもこれらしい。
5月1日、私たちはこうやって畝を作った。
- 溝を掘り、その土を積み上げて45センチほどの高さの畝にする
- 落ち葉や枯れ草などの有機物を、土の上に乗せる
- 有機物の隙間に入るように土を被せて、抑える
これは旧版のとおりだ。
旧版には、有機物は土に鋤き込むのではなく畝の上にのせるのが特徴だ、と書いてある。理由は、糸状菌は空気に触れたほうが増えるから。土に埋めてしまうより、上に置いたほうがいい。混ぜないことが、この農法の特徴だった。

進化版は、ここを変えた。
畝の上部10〜15センチの土と、有機物をよくかき混ぜる。何回かに分けて、重ねながら混ぜてもいいらしい。
のせる有機物の厚さは種類によって変わるなど、細かいところまで書いてあるので、詳しくは本を見てほしい。
有機物も変わっていた。進化版の「無肥料の菌ちゃん農法」では、かたい草は使わない。混ぜるようになったことで、草を入れると糸状菌以外の微生物も増えてしまうからだそうだ。草は、二つめの「草マルチの菌ちゃん農法」のほうで使うことになっている。
うちの畝には、落ち葉と一緒に枯れ草も入れていた。
変えた理由が、うちの7月の畑そのものだった
なぜ変えたのか。理由も書いてあった。
昨今の猛暑で、夏場は畝が乾燥して糸状菌が育たない。そうすると野菜が肥料不足になることがある。冬は冬で、温度が下がりやすい。だから混ぜて、真夏でも真冬でも糸状菌が働けるようにする——。
うちの7月の畑を思い出した。
7月に入ってからとにかく暑く、畑に足が向かなくなった。7月25日、偵察に行ったらミニトマトが地面に伏して育っていない。土はカラカラだった。あのとき「可哀想に、ほったらかしですまん」と思った。8月に入ると、セロリは2株のうち1株が枯れていた。

その畑を思い出しながら「夏場は畝が乾燥して糸状菌が育たず」の一行を読んだとき、そういうことだったのか!と腑に落ちた。
畑のおじさんの「肥料不足」は、当たっていた
7月25日、帰り際に畑のおじさんに相談した。ナスの皮が茶色くなるのは、水と肥料の不足だと教わった。
菌ちゃん農法は肥料を使わないものだと思っていたので、そこが引っかかった。それで旧版を読み直したら、そうではなかった。土づくり1〜2年目は液体肥料を施すとベター、と書いてある。1年目の畝は糸状菌がまだ十分に増えていないので、根とつながるまでの間、苗の生育を助ける意味で施すのだそうだ。
うちは今年が1年目。だからか、と納得した。
進化版には、その先が書いてあった。
猛暑で畝が乾く。糸状菌が育たない。野菜が肥料不足になる。
おじさんの見立ては当たっていた。ただ、原因は「1年目だから」だけではなかったのかもしれない。畝の作り方そのものが、この暑さに追いついていなかった。
素人なので、うちの畑で起きたことが本に書いてあるとおりだったのかは断言できない。それでも、思い当たることが多すぎた。
ただし、ナスは豊作だった
7月の話だけを書くと、うちの畑が全滅したように見えるかもしれない。そうではなかった。
おじさんと話した7月25日から、水やりに行く回数を増やした。
8月13日、ナスは綺麗に出来ていた。赤いプチトマトも、いくつか採れた。
8月25日には、ナスがびっくりするほど沢山出来ていた。隣の畑のお姉さんに「ナスめっちゃ出来てますね」と声をかけてもらった。

客観的に見ても、うちの畑のナスは豊作なんだーと嬉しく思った。ちなみに、味が濃くて美味しかった。
でも結局、液体肥料はやらずじまいだった。肥料も農薬も使っていない。それでこれだけ採れた。
本によると、元気な野菜は虫に食われにくく、栄養素も多く含んでいるのだそうだ。人間が食べておいしいと感じるのも、元気な野菜の特徴らしい。うちのナスが美味しかったのは、そういうことだったのかもしれない。
オクラは、油断するとすぐ育ちすぎる。見に行くたびに、どれかが硬くなっていた。パプリカは小ぶりだが、いくつも実った。

9月8日、雨の中を収穫に行った日も、ナスは豊作だった。
育たなかったのは、ミニトマトとセロリだ。セロリは結局枯れた。ミニトマトは、割れているものや筋の入っているものが多かった。

たくさんは出来なかったけど、赤く実ったプチトマトは、味が濃くて美味しかった。
うちの畑は、水が多めの土だった
8月18日、畑で別のおじさんから話を聞いた。
一週間から10日に1度、水利組合が田んぼに水を流している。端の畑は、どうしても水が多めの土になる。みんなそれを承知のうえで、それに適した野菜を育てているのだそうだ。里芋、ナス、きゅうりなど。
うちの畑は、端だ。
ナスが豊作だったのは、たぶんそういうことなのだと思う。水が多めの土に合う野菜だった。しかも私は、7月25日から水やりを増やしていた。逆にミニトマトは、7月に支柱を立てたときに「水やりは不要」と教わった野菜だ。割れていたのも、筋が入っていたのも、水が多かったからかもしれない。
そうなると、進化版が書いていた夏場の乾燥が、うちの畑にそのまま当てはまったのかは、ますます分からなくなる。7月にカラカラだったのは本当だ。でも同じ夏に、ナスはよく育った。
素人の結論は、こうなった。本のとおりにやることと、自分の畑の事情を知ること。どちらも要るのだと思う。
で、うちの畝はどうするのか
畝を作り直すのか、このまま様子を見るのか、これからメンバーと相談しようと思う。
これから始める人へ
これから畝を作るなら、進化版のやり方で作るのがいいと思う。
問題は、すでに旧版のやり方で作ってしまった人だ。私もそうだ。
作り直すかどうかは畑の事情によるとして、夏に畝が乾くと糸状菌が弱ることは知っておくといい。知っているかどうかで、次の夏の動き方が変わる。カラカラの畑を見て「1年目だから仕方ない」で終わらせずに済む。
まとめ
- 進化版では、菌ちゃん農法が三つに整理された(無肥料/草マルチ/生ごみ)
- 進化版で、無肥料の菌ちゃん農法の畝の作り方が変わった
- 旧版=有機物を畝の上にのせて、土を少しかぶせる
- 進化版=畝の上部10〜15センチの土と、有機物をよくかき混ぜる
- 進化版では、かたい草は無肥料の菌ちゃん農法に使わない(草を使う別のやり方がある)
- 変更の理由は猛暑。畝が乾くと糸状菌が育たず、野菜が肥料不足になる
- ただし、うちの畑は8月以降ナスが豊作。育たなかったのはミニトマトとセロリ
- 液体肥料も農薬も使わずに、味の濃いナスが採れた
- 畑は水が多めの土だった。乾燥がうちに当てはまったのかは分からない
- 本のとおりにやることと、自分の畑の事情を知ることは、どちらも要る
- 旧版のやり方で作った畝をどうするかは、目下相談中
畝作りから初収穫までは菌ちゃん農法を素人チームがやってみた実録。落ち葉拾いから初収穫までの2ヶ月半に、7月の畑の様子は菌ちゃん農法の支柱立て。畑に行けない猛暑の朝7時に、伏せたミニトマトを起こしてきたに書いています。
参考:吉田俊道『図解でよくわかる 菌ちゃん農法』『進化版 図解でよくわかる 菌ちゃん農法』(家の光協会)